2010年9月9日木曜日

ふがいない僕は空を見た


 台風9号の影響で雨風の中、読み終わった「オール・マイ・ラビング」小路幸也、集英社、2010.04.26。を稲城第3図書館に返し、「ふがいない僕は空を見た」窪美澄、新潮社、2010.07.22。と「平成大家族」中島京子、集英社、2008.02.05。を麻生図書館に返却し、「ハブテトル ハブテトラン」中島京子、ポプラ社、2008.12.22。を借りて来た。
 「ハブテトル ハブテトラン」 登校拒否児童のダイスケは小学校5年生の2学期、 祖父母の住む広島県福山市松永の小学校に転校する。のんびりした田舎の学校で伸び伸びと学校生活を楽しめるようになった。
 ずっと以前、本書を読みたくて探したことがあった。その内、本のタイトルを忘れてしまい、其の儘読まずに忘れてしまっていた。今回、中島京子さんの作品と知り、改めて図書館で取り寄せて、やっと読んだ。想像していた通り、素晴らしい作品だった。
 私も子供の時、東京都葛飾区立清和小学校に1年生の1学期だけ行き、夏休みに祖父母の住んでいた千倉の千葉県安房郡千倉町立七浦小学校に転校し、2年間在籍し、3年生の夏休みに、今度は父母が引っ越していた小岩の東京都江戸川区立中小岩小学校に転校したことを思い出した。
 その後も夏休み中、千倉(現在は南房総市)で過ごした。当時の房総西線(現在のJR内房線)の始発駅の両国駅まで母に送ってもらい、2歳下の妹を連れて、蒸気機関車に乗って千倉駅まで行き、バスで「千田」まで行くと祖母が迎えに来てくれたものだった。
 その小学校では祖父と叔父が2人とも元校長で、従姉が担任でもあり、東京から転校したこともありチヤホヤされて過ごした。祖父母に甘やかされてクラスで一番だと言われて育ち、本人もその気で居たのだが、長じてから、よくよく考えると、ただの身贔屓でしかなかったと思える。その後も自分は特別な人間だと言う考えが尾を引いて困ったものだった。中学では試験の成績が廊下に張り出され、自分が優秀でも何でもなく、唯の平凡な生徒であったことを思い知らされた。
 「ふがいない僕は空を見た」は変態小説である。その変態小説に感動して涙を流している私はもっと変態だ。セックス描写は過激だがテーマは重い、心にズシンと響いて来る。
 東京のはずれにひっそりと存在していて、警察署も郵便局も税務署も本局はお隣の市に依存している小さな街、稲城市在住の私としては稲城市出身の素晴らしい作家が出たのは嬉しい限りだが、稲城図書館に本書が無いとは、どう言うことだ。お隣の麻生図書館で借りて読むしかなかった。

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